ふたり乗り ( Vacant Vacancy ) |
夜の川沿いのじゃり道、不安定なその道を、隼人はあたしを後ろに乗せた自転車で走る。夜風は少し涼しくて、少し肌寒かったので、ペダルを漕ぐ隼人の腰につかまっていた手をまわして彼に抱きつく。隼人は自転車を漕いでいるからか温かかった。自転車はじゃりのせいでガタガタガタ、少しお尻が痛い。早くじゃり道を抜けないかな、なんて思いながらふと空を見上げると、晴れた夜空に星が散りばめられていてまるで宝石みたいに綺麗だった。 「隼人見て!星がすごい、」 「あぁ?星なんて興味ねーよ」 「でもすごく綺麗だよ!」 「のほうが綺麗だぜ」 あたしはその言葉が、あたしを後ろに乗せた自転車を漕いでいてしかもじゃり道でバランスが取りにくいから上を向いてる余裕なんかない隼人が、あたしを適当にあしらうために口にした言葉だとわかってはいても、それでもうれしくて、ますます強く隼人に抱きついた。 |
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