さよなら純潔 選択式御題


冷たい月が窓から覗いた。あたしはそれを見て少し不安になった、いつも以上にしろく光る月が、まるであたしを嘲笑っているようだったから。気に入らなくてあたしは部屋のカーテンを閉めてその月を隠した、のに、やっぱり不安は消えなくて、ああ月のせいじゃないあたしが勝手に独りで不安になっているだけなんだって気付いた。大きなベッドにおもいきり倒れこんで気を紛らわしたフリをしてみても、やっぱり心は落ち着かないし、不安はしつこくまとわりついてくる。何かから逃げるみたいに、まだ乾いていない濡れた髪のまま枕に顔を埋めていると、ドアを開ける音がして、





ディーノがあたしの名前を呼ぶ。あたしは枕から顔を上げてドアのほうを見た、シャワーを終わらせたらしいディーノが、こっちにむかってゆっくり歩いてきた。心臓がドクドク脈打っているのが分かる、ドクドクドクドクすごくうるさい。そんな間にディーノはベッドの上、あたしの隣に辿り着いた。ああ、あたしたぶん今すごく怯えた瞳をしてしまっているかもしれない、


、」


もう一度あたしの名前を呼んで、あたしをやさしく抱きしめてくれた。不安なんだな ごめんな、ディーノがあたしの首筋の辺りでそう言うので、あたしは自分でも訳が分からず(嘘をつく理由なんてないはずなのに、)そんなことない、と言った。すると彼はあたしの首筋に埋めていた顔を上げて、にっこり笑ってあたしにキスをする。心臓はそれでも落ち着かない、けれど、あたしはこの人に愛されたいと心の底から思った。だからどうか見ていて神様、あたしはこれから行われる行為が終わってもきっと何も失わないし、きっときっときっと


、泣くなよ」
「な、泣いてない、」
「嫌ならやめてもいいんだぜ?」
「嫌じゃない!」
「… 絶対大事にする、 辛くなったら俺の名前呼んで な?」
「、うん」
「愛してるぜ、


きっとあたしが傷つきそうなときはディーノが守ってくれるんだ。神様、純潔を失ったらあなたはあたしを見捨てる?寂しいけどそれでもあたしは生きていけるって思えるの、 そしてディーノがあたしを纏う布をゆっくり剥いだ。


窓を閉じる


20070904