「雷鳴ってる」


ゴロゴロと轟く雷、窓を激しく打つ雨、時計は午前4時過ぎを指していた。ホテルの一室はかろうじて光を受け入れて、隣に横になるスクアーロのぎんいろの髪と綺麗な輪郭をなぞった


「…うっせぇ、寝てろぉ」


そう言ったスクアーロはあたしの頭を少し乱暴に大きな手で掴んで枕に沈ませた。自分の前髪が目の前に下りてきて、あたしの視界をさえぎる、けれど、完璧にさえぎることは出来ずに、その隙間から見える窓とスクアーロ。お前なんで起きてんだ、彼は眠たそうにふたたび目を閉じ。ながらも、その手であたしをたぐり寄せた


「すごい雨だね」
「ああ、」


好意に甘えておとなしくスクアーロの胸に顔を埋める。聞こえる雨音は乱暴だけど、耳をなでられているような感覚に陥る、なんておかしいかなあたし。そう考えてたら不意にスクアーロと目が合った





あたしの名前を呼ぶくちびるに思わず惹かれて、 そしてあたしの視線に気づいたそれはすぐに弧を描いて、あたしを笑う、


「…どこ見てんだぁ」
「(…意地悪いなあ)スクアーロを、」


クク、と喉を鳴らして、ああ、いとしい


「逸らすなよ、」


あたしにキスを落として、それから耳元でささやかれた言葉、は、雨音に溶けていた




079 雨音のなぐさめ




窓を閉じる



20070830 進歩なくてごめんなさ、い…、 お題 // by hazy