銀色の細い糸みたいな髪の毛が頬にかかっていたその横顔を、飽きもせずにずっと、 だって、ねえ、この飽き性なあたしが、あなたのことだけは、どんなに時間が経てど回数をこなせど全然飽きなくて逆に悔しくなるほどよ!こんな恋する乙女な自分に呆れちゃうのよ、なのに、あたしの隣に堂々と居座るあなたを、あたしは一体どうしたら、(ああもう意味がわからない!) 「美人は三日で飽きる、だなんて」 「なんだぁ?」 「絶対、嘘だよね、ぜったい!」 「う゛お゛ぉい!いきなり何だぁ!」 「そ、そんなのこっちが聞きたいわ!」 自分でもわかる、ごめんスクアーロ、あたし意味わかんないよね。ああ、何でだろう、あたしが幼すぎる?だって、今まで何度か恋だってしてきたし、(きっとこいつが女慣れしているせいだ、鮫の癖に、)ちっとも冷静になれないあたしと冷静な鮫!あたしばっかり、馬鹿みたいとか、思っちゃったりするに決まってるわ、 「ねえ、スクアーロ、」 呼べばあたしを捕らえる瞳、(なによ、男の癖に美人だなんて反則じゃない、)悔しいけどあたしはあなたに敵わないんだ (あたし、 あなたが す き、)なんて、しんでも言えないのが情けない、ね 「……………その、コーヒー飲んでもいい?」 「あ゛ぁ゛?お前コーヒー飲めたかぁ?」 「飲めるよ!そのくらいあたしだって、」 「……ほらよぉ」 スクアーロは飲みかけのコーヒーをあたしに渡してくれた、(本当はコーヒーなんて飲めないよ、)あたしはマグカップを両手で受け取って、苦いコーヒーを無理やり飲んだ。苦い、この恋もコーヒーも、飲まなければよかったのかも、 「ねえ、」 「今度は何だぁ?」 「かんせつきす、だった」 「…てめぇ気色悪いぞぉぉ!」 「あはは」 笑って誤魔化すのはあたしの得意技なはずなのに、棒読みになっちゃった、やっぱり調子が狂うみたい(もうぐだぐだなあたし、) 「」 「ん?」 しまった不意をつかれた、と思ったときにはもう遅かった、(やっぱりこいつタラシ鮫なんだわ!)これって、だって、キス……! 「じゃあなぁ」 「――――な、なに、よ…」 彼は颯爽と部屋を去って行った (もう訳わかんない、溺れさせたんだから助けて行きなさいよ!) 060 ああ、 君が好きだ |