「あーあ、」


ずしん、彼女はベッドに沈んだ



031 失恋だって笑い飛ばして、

どうせ泣いても明日は来る





「大好きだったのになぁ、だってこの世で一番彼のことを愛してる自信があるもん、なのに」


俺には彼女の身に何があったのか、予測することしかできないが、(たぶんふられたんだろ)その割りに涙するなんて気配微塵もなくてむしろ笑顔で淡々とことばを口にする


「スクアーロ慰めてよ」
「う゛お゛ぉい、そんな面倒はごめんだぜぇ」
「なんて役に立たない鮫なのかしら」
「……何があったんだぁ?」


彼女は俺を見て言う、


「ボスにふられたの」


その言葉に思わず驚く自分、(こいつがボスのこと好きだったのは知っていたが、それは恋愛とかじゃなくてただ単純に、)ていうかそれだと俺もたった今失恋が決定したことになっちまうじゃねぇか、


「………あ゛ぁ?」
「スクアーロ、あんたはあたしのことふらないよね?」
「な゛っ、意味がわかんねぇぞぉ!」
「あたしはあなたを愛してるのよ、」
「どういう、」


ベッドに倒れる彼女を見ると、枕に顔をうずめて、ああ、


「泣いてんのか、」
「あはは、泣いてるわけないじゃん」
「…」
「だってあたしはあなたが好きなのに」


そう口にする彼女の、逃げ場は、どうやら



「何、」
「  あいしてる、」



彼女の腕を取ってその身体をベッドから起こすと、涙でぬれたくちびるを、彼女はそして笑った(にげておいで けど、俺はお前を逃がさない、それでもいいなら)




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20070820 お題 // by hazy