今日は久しぶりに日本へ帰ってきた。あたしの馴染みの故郷・並盛は今日も穏やかに時が流れていて、あたしがスクアーロに連れられてイタリアへ行く前と特に変わり栄えしていない、しかしそれがまたイタリアの地に慣れたあたしをやさしく包んだ。 今日ここへ帰ってきたのは休暇なんかもらったわけじゃなくて(本当は休暇をもらいたかったのにあの鬼ボスがそれを許してくれなかった、)任務のためだ。先ほどその任務は終わらせてきたから、あとはイタリアに帰ってボスに任務完了の報告書を提出するだけ。今日はもう日没だし、明日の朝の便でイタリアに飛べばいい。さて久しぶりに帰ってきた故郷、まずはどこに行こうか、なんて考えていると、遠くから祭囃子が聞こえた。あたしは思わず足を止める、あたしと一緒に日本に来ているスクアーロが、隣で立ち止まったあたしを見て言った。 「う゛お゛ぉい!何立ち止まって、」 「そういえば今日は毎年恒例の町内夏祭りじゃない!」 「…夏祭りだぁ?」 「ねえちょっと行ってみようよ」 「てめぇ、俺がそんなもん行く訳ねぇぞぉ!」 「少しくらいいいでしょ、付き合ってよ」 「ひとりで行けぇ!」 「だ、だってお祭りはカップルだらけなんだよ、女一人なんて絶対かわいそうな目で見られるよ」 「(カ、カップルだとぉ…)」 「スクアーロ、あたしの こ い び と でしょ」 わざと 恋人 の部分を強調して言えば、スクアーロは渋々行くことを了承してくれた。あたしとスクアーロは聞こえてくる祭囃子を辿るように神社に向かう。 歩いてまもなく、お祭りの雑音がどんどん大きくなる。わくわくしながら少し早足で進むと、明るい提灯がいくつも見えて、あたしとスクアーロは夏祭りの行われている神社に着いた。お祭りを楽しんでいる人たちの賑やかな声が無数に行き交っている。 「スクアーロ、日本のお祭りは初めてだよね?」 「……この人ごみの中入ってくつもりかぁ?」 「え、当たり前じゃん」 「こんなうぜぇ人ごみの中俺はごめんだぜぇ」 「あはは、大丈夫だよ、あたしがはぐれない様にエスコートしてあげるから!」 そう言ってあたしはスクアーロの手を掴んで、引っ張って、大勢の人の中に混ざっていく、(スクアーロはごちゃごちゃ文句を言っているけど、人ごみなんかあたしにどうにも出来ないので無視!)町内のお祭りとあって、人の数は半端じゃない。人の波にもまれながら、あたしはとりあえず少しでも空いているところへ移動しようとする、のに、なかなか先に進めない。するとスクアーロがあたしの腕を引っ張り返して、 「う゛お゛ぉい、エスコートなんてできやしねぇじゃねぇかぁ、」 「あたしのせいじゃないよ人ごみのせい!」 スクアーロはあたしを見て笑っている、(なによ…!)そして彼は、あたしを自分のすぐ後ろに導いて、ズカズカと人ごみを割いていった。スクアーロの後ろに隠れているあたしは簡単に進むことができる、(こ、こんなことしたって惚れ直したりしないんだから!)掴んでいた手がいつの間にか繋がれている、あたしは、反則だ、と思って、恥ずかしくて熱くなった顔を俯いて隠した。 そのまましばらく歩いていくと、ようやく人のいない場所に出ることが出来た、神社の境内の裏みたいな場所で、少し薄暗いけれどさっきの人ごみの中よりは大分マシだ、 「…で、どうするんだぁ?」 「な、何か食べるものでも買ってこよっか、…あ!」 「あ゛ぁ?」 「そういえば、毎年打ち上げ花火やるの!ここでそれ見よ!」 「花火なんかのどこが面白いんだかなぁ」 その言葉に、あたしが打ち上げ花火の醍醐味を教えてあげようと口をあけた 瞬間、パン! 花火のはじける音がして、後ろを振り向くと夜空に大きく花火が咲いていた。あたしはスクアーロの隣に立って、花火を見上げる。きれいだね、言おうとしてスクアーロのほうを向いたら、その隙に彼はあたしにキスをした!夏祭りってやっぱりアツイものね! @ summer festival Head over heels in LOVE!
( 窓を閉じる ) 20070904 |